背景と必要性

薬機法に関わる企業では、研究、治験、開発、臨床などの企業活動を推進する為に、医療機関・医療関係者等と産学連携活動を密接に行う必要があります。その際にその活動の対価として、金銭が支払われるます。これらの活動が活発になればなるほど、医療機関・医療関係者等が特定の企業・製品に深く関与することになり、公正性が保たれていないという懸念を社会からもたれる可能性があります。

このような企業は、関連法規の遵守、倫理綱領、企業行動憲章、プロモーションコード、公正競争規約等を活用して、企業活動の透明性を高めるように努力してきましたが、近年の欧米などの透明性を高める活動などもあって、さらにその透明性を増すために、企業団体毎に透明性ガイドラインを策定して、毎年、その結果を各企業が発表することになりました。

しかし、これには難しい問題がありました。
・会社からお金をお支払している医療機関等の名前が公表されること
・支払先が公表されるので、たくさんの医療機関、団体、個人のそれぞれに承諾を得るのが時間がかかる、個人情報でもある
・支払情報等の集計・公開のためのシステム(仕組み)づくりにコストがかかる
・公開はしたいが、このリストが別の目的で利用されるのは防ぎたい
など、沢山の難関がありましたが、これをすべてクリアして、この情報を公開されてるわけです。

検討の手順

公開は一般的に決算終了後のその期の内容をまとめて公開します。その為に公開1年前から準備する必要があります。

  1. どの団体の基準に準拠するか?
    日本製薬工業協会、日本臨床検査薬協会、日本漢方生薬製剤協会、日本OTC医薬品協会、日本ジェネリック製薬協会

  2. 公開する項目はどのような項目、内容があるか?
    各団体の透明性ガイドラインの内容を読み込む。
A. 研究費開発費等 共同研究費(臨床・臨床以外) 年間の総額
委託研究費(臨床・臨床以外) 年間の総額
臨床試験費 年間の総額
製造販売後臨床試験費 年間の総額
副作用・不具合・感染症症例報告費 年間の総額
製造販売後調査費 年間の総額
B. 学術研究助成費 奨学寄附金 ○○大学○○教室: ○○件○○円
一般寄附金 ○○大学(○○財団): ○○件○○円
学会寄附金 第○回○○学会(○○地方会・○○研究会): ○○円
学会共催費 第○回○○学会 ○○セミナー: ○○円
C. 原稿執筆料等 講師謝金 ○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長): ○○件○○円
原稿執筆料・監修料 ○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長): ○○件○○円
コンサルティング等業務委託費 ○○大学(○○病院)○○科○○教授(部長): ○○件○○円
D. 情報提供関連費 講演会等会合費 年間の件数・総額
説明会費 年間の件数・総額
文献等提供費 年間の総額
E. その他の費用 接遇等費用 年間の総額

公開に関しての同意

「B.学術研究助成費」や「C.原稿執筆料等」は団体名、個人名が公表されます。個人情報ともなる可能性がありますから、業務を委託する前に「公開に関しての同意書」を提出いただく必要があります。このドキュメントの内容は各団体のテンプレートがありますので利用できると思います。また、この同意書にサインいただけない団体、個人とは活動を共にできないことになります。
 

どのように公開するか

上記2で読み込んだ内容を広く公開したいと思いますが、透明性ガイドラインの趣旨と異なる利用方法に使われてもいけませんので、どのように公開するかを考えます。

・自社ホームページに掲載するか?団体のサイトなどに掲載してもらうか?

自社のホームページを持たない会社などは、団体のサイトに掲載することが可能な場合があります。
(例)一般社団法人日本医療機器産業連合会のサイトはこちら

・団体名、個人名を公表する内容についてどのように掲載するか?

件数と金額だけを公表するものはそのままホームページで公開しても何の支障ありません。しかし、団体名、個人名を自社のホームページにそのまま掲載すると検索対象などになり、Google検索などで、個人名からそのサイトが表示されるようになります。この様な公表のされ方は、趣旨とは異なると思いますので、申し込みをいただいた方にだけリストを提供するなど工夫します。

公表するデータをどのように収集するか?

様々な部門、担当者からいろいろな要件で支払われる金額の収集になりますので、基本的にはお金の情報が全て集まる所、会計システムから取得するのがもっとも効率的です。その会計データ、詳しくは振替伝票の情報から、この透明性ガイドラインに関連あるデータだけを抽出できる仕組みを構築します。

公表するデータをどのように集計するか?

公開対象の集計単位は、おおよそ勘定科目(研究費、寄付金等)と同じですが、その詳細までは正確に分類されていません。例えば、奨学寄付金であれば、「奨学寄附金○○大学△△教室:100件¥1,000」というぐあいに集計されなければなりませんが、勘定科目毎では、○○大学△△教室という部分がありません。また摘要などを利用しようとしても、表記が統一されていないので現状では正しく集計は出来ないと思います。
<例> 京都大学 △△教室
    国立大学法人 京都大学 △△教室
    国立大学法人 京都大学 医学部 △△教室
    きょうと大学 △△教室
そこで、そのデータを作成する時のルールを明確に作成して、そのルールに従って集計するようにします。しかし、これでも、100%正確にシステムだけでは集計できませんから、人間の確認作業が発生します。システムでできるかぎりの名寄せを行って、システムからリストを出力して、それをみながら、最終的に人の手で集計作業を完了させることによって、透明性ガイドラインの報告書を作成します。

各社様向けにカスタマイズも可能な弊社の無料ソリューション「透明性ガイドラインレポート 簡単集計ツール」はこちらです。

公表後の運用

公表後は、いろいろな分野から問い合わせが来ることが予想されます。その対応などの対応責任部門を規定して、どのような手順で業務を進めていくかを、社内規定として確立することが必要になります。

透明性ガイドラインを発表している団体

日本製薬工業協会の内容はこちら
日本臨床検査薬協会の内容はこちら
日本漢方生薬製剤協会の内容はこちら
日本OTC医薬品協会の内容はこちら
日本ジェネリック製薬協会の内容はこちら