EMAは、販売許可者向けの ニトロソアミン類不純物に関する Q&Aを更新

EMAは、2019年9月に発出したQ&Aを昨年12月20日に更新し、4件のQ&Aを新たに加えた。

新規の概要は;

Q&A 13;EMAへのMAHの新規申請者、申請中の申請者に、ニトロソアミン類不純物のリスク評価の提出。検出された場合のリスク評価と軽減策

Q&A14、 合成医薬品以外生物医薬品等への照会の拡大の可能性に関しては、検討中。

Q&A 15 新規にニトロソアミン類不純物が検出された場合は、EMAとCMDh の情報公開に即して、リスク評価を行う。

Q&A16 16.生涯もしくはそれに満たない期間、医薬品を服用するとき、ニトロソアミン不純物の暫定基準が提案された。

Questions and answers on “Information on nitrosamines for marketing authorisation holders”

20 December 2019 EMA/CHMP/428592/2019 Rev. 2

https://www.ema.europa.eu/en/documents/referral/nitrosamines-emea-h-a53-1490-questions-answers-information-nitrosamines-marketing-authorisation_en.pdf

私訳を参照願います;

  1. What is the approach for new and ongoing marketing authorisation applications (MAA)? (NEW)

13.新規に申請および申請中の販売承認申請(MAA)のアプローチは何ですか? (新規)
ニトロソアミンの潜在的な汚染は、次のように販売許可申請の一部として審査される。
•提出段階で:
-申請者は、MAAの一部として、販売承認取得者のためのニトロソアミンに関する情報のステップ1に示される原則に従って、リスク評価を提出すること。
−この段階で、医薬品にニトロソアミンの混入しているリスクがすでに特定されている場合、申請者は、医薬品の持つ利益とリスクのバランスへの影響とリスク軽減戦略の概要を示したリスク評価を提供すること。申請者は、「販売承認取得者向けニトロソアミンに関する情報」のステップ2で述べた確認試験計画または確認試験データも提出すること。
-申請者がリスク評価を提出しておらず、ニトロソアミンの混入しているリスクがすでに特定されている場合、MAA申請で確認テスト計画を提出していない場合、これらを承認審査手順の間に提出すること。

  • MA審査中:-リスク評価がMAAの一部として提出されなかった場合、MA審査の段階で要求される。リスク評価は、ニトロソアミンが存在するリスクが特定された場合に、確認テストによって適切に文書化され、必要に応じてサポートされること。この情報は、照会への回答の一部として提出すること。
    −申請者がこの段階で満足な情報と医薬品の利益リスクプロファイルの妥当性を提供できない場合、ニトロソアミンの混入のリスクをさらに評価するための要求は、MA の審査の段階で 照会/未解決の問題としてリストに記載される。
    -未解決の問題は、MAの承認に関する最終意見書の準備の前に解決すること。
    -意見書の準備の時点で医薬品中のニトロソアミンの混入の可能性に関する懸念がまだ解決されていない場合、これは利益/リスク評価として考慮され、販売認可申請の承認付与に影響を与える可能性がある。
    注:このQ&Aの目的については、以下の定義を参照。
    リスク評価:ステップ1のすべてのアクティビティ。
    リスク評価:ステップ2および3のすべてのアクティビティ
  1. Are biological products containing excipients potentially at risk of contamination with Nitrosamines in the scope of the review? (NEW)

14.賦形剤を含む生物学的製剤は、レビューの範囲内でニトロソアミンによる汚染のリスクがある可能性があるか? (新規)

現在のMAHへの照会要求は、化学合成されたAPIを含むヒト用医薬品にのみ適用される。

第5条(3)の手順の一部として、EMAの人用医薬品委員会(CHMP)は、ニトロソアミン不純物に関するあらゆる科学的知識を評価し、化学合成された活性成分物質および/または賦形剤を含む医薬品以外の医薬品に照会の範囲を広げるかどうかも検討している 。

ただし、MAHまたは製造業者は、生物学的医薬品を含む化学的に合成されていない医薬品にニトロソアミン不純物が含まれていることを確認した場合は、直ちに管轄当局に通知すること。

  1. What to do if after completing step 1 and /or step 2 new information on new potential root causes is identified? (NEW)

15.ステップ1および/またはステップ2を完了した後、新しい潜在的な根本原因に関する新しい情報が特定された場合はどうするか? (新規)
ステップ1と2が完了すると、MAHとAPIおよび医薬品企業は、ライフサイクル全体を通して医薬品の品質を維持すること、したがって、ニトロソアミン不純物の生成または汚染の潜在的な根本原因に関する新しい情報が明らかになった場合、リスク評価とテストの結果を確認する。 新たに特定されたリスクの評価と試験を実施するための適切なスケジュールを、特定されたリスクのレベルと影響に応じて実施すること。 EMAとCMDhは、新たに特定されたニトロソアミン不純物の発生源をWebサイトに公開し続ける。

  1. What limits will apply for nitrosamines in medicinal products based on lifetime and less than lifetime use? (NEW)

16.生涯もしくはそれに満たない期間、医薬品を服用するとき、ニトロソアミン不純物の基準はどの様に適用されるか? (新規)

サルタン系以外の医薬品に対するニトロソアミンの長期的な基準はまだ検討中。
新たに医薬品中のニトロソアミン不純物が検出例については、CHMP Art 5(3)判断の結果が出るまで、第31条の参照評価レポートでNDMAおよびNDEA不純物に対して定義されいる暫定基準(IL)が、MAHに対して適用されることになる。 さらに、NMBA、NDBA、DIPNA、およびEIPNAについては、安全作業部会(SWP)によって計算され、CHMPおよびCMDhによって合意された追加の暫定基準が以下の表にまとめられており、次のURLを参照:https:// www.ema.europa.eu/en/documents/other/temporary-interim-limits-nmba-dipna-eipnaimpurities-sartan-blood-pressure-medicines_en.pdf

(NDBAの算出は公開されていない)。

Nitrosamine ニトロソアミン類不純物 Interim Limit* 暫定基準
NDMA, NMBA 96 ng/day
NDEA, NDBA, DIPNA, EIPNA 26.5 ng/day

*これらの暫定基準は、上記のN-ニトロソアミン不純物が複数同時に検出されたバッチには適用されない。 そのようなバッチは不適合判断すること。
この暫定基準を超えていない場合、所管官庁は、検出された不純物のレベルについて通知されるものとする(Q6を参照)。 MAHは、その通知に記載されている手順1および手順2を通じてMAHへの通知にも従うこと。

治療期間が制限されている医薬品や断続的治療的投与医薬品(1週間に1回など)で暫定基準を超えている場合は、修正された暫定基準として、より高い1日暴露量を採用が可能。 ICH M7ガイドラインの「生涯使用にはならない(LTL)」アプローチとして説明するアプローチを使用して、LTL期間に服用した医薬品に含まれる不純物の修正された暫定基準を計算が可能。次の表を参照。

Duration 服薬期間 1 day – 1 month 1 month – 1 year 1 year – 10 years 10 years – lifetime
Daily intake、最大摂取量 80 x 暫定基準 13.3 x暫定基準 6.7 x暫定基準 暫定基準

リスクアプローチはすべての管理ルートに適用可能であり、ケースバイケースで評価する投与経路の差異によるデータの妥当性が証明されない限り、一般に暫定基準の修正は担保されない。

ニトロソアミン不純物が検出された場合、ニトロソアミン不純物の値はngとppmで報告され、SmPCに記載されている最大日用量と治療期間に基づいて、検出されたニトロソアミンへの患者の潜在的な曝露の説明に関連する計算式とともに報告されること。 SmPCが加盟国間で異なる場合、それぞれの異なる最大曝露の計算を提供すること。これらの曝露は、上記の表に示されている暫定的な生涯または生涯使用に満たないアプローチと比較すること。計算をレビューおよび検証できるように、十分な詳細を提供すること。

MAHはすべての場合において、その通知に記載されている手順1および手順2を通じてMAHへの通知に従うこと。 MAHは、医薬品の製造中にニトロソアミンが生成または存在するリスクを軽減するために、常に予防措置を講じること。

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