コロナウイルス(COVID-19)分子診断試験の緊急使用許可(通知義務)を発効に先立ち、ガイドラインを発出<緊急>

本日(2/29) FDAは、各臨床検査室がパンデミックが予想される新コロナウイルスの診断法の緊急使用許可(EUA)の通知を行う先立ち、試験法の設計開発に関するguideを発出した。

Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Issues New Policy to Help Expedite Availability of Diagnostics

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-issues-new-policy-help-expedite-availability-diagnostics?utm_campaign=022820_PR_FDA%20Issues%20New%20Policy%20to%20Help%20to%20Expedite%20Availability%20of%20Diagnostics&utm_medium=email&utm_source=Eloqua

 

ガイドラインの全文は下記のURLより入手可能

Policy for Diagnostics Testing in Laboratories Certified to Perform High Complexity Testing under CLIA prior to Emergency Use Authorization for Coronavirus Disease-2019 during the Public Health Emergency Immediately in Effect Guidance for Clinical Laboratories and Food and Drug Administration Staff

https://www.fda.gov/media/135659/download

 

前文として、この目的を下記の様にFDAは述べている:

FDAは、試験法の緊急使用許可(EUA)の発行前、臨床検査改善修正法(CLIA)の下で高度な複雑な試験を実施することが認定された臨床検査室で開発および使用される新規コロナウイルス(COVID-19)分子診断試験のポリシーを提供するために、このガイダンスを発行する 。

III. Scope

このガイダンスに記載されているポリシーは、CLIAの要件に準拠し、独自のバリデーション済みの診断テストを開発・使用し、EUAを申請しているCLIAの下で複雑度の高いテストを実施の認定を受けた(申請)臨床検査室に適用されます。

 

  1. Policy 方針

FDAは、臨床検査試験室が個々のテストキットコンポーネント(例:プライマー、プローブなど)を設計および製造するか、分析法の開発のために外部供給者から研究目的機器(RUO)コンポーネントを購入する必要があると予測しています。

A.バリデーション

すべての臨床検査は、使用前にバリデーションをおこなうこと。 しかし、公衆衛生上の緊急事態の状態では、誤った結果が個々の患者に対してそれ以上の広範な公衆衛生上の影響を与える可能性があるため、試験法がバリデーションされることが特に重要です。

以下では、FDAはこれらの試験法の分析的および臨床的妥当性を確保するための最小限のテストに関する推奨事項を提供し、FDAは各試験室が実施したい代替試験法をFDAと議論することを推奨します。

(1)検出限界

FDAは、検査試験室はSARS-CoV-2アッセイの検出限界(LoD)を考慮することを推奨しています。 FDAは一般に、LoDの決定のために、RNAまたは不活化ウイルスを人工または実際の臨床マトリックス(BAL液、putなど)にスパイクすることは求めません。FDAは、検査試験室が濃度ごとに3回繰り返しの希釈系列をテストし、最終濃度で20回繰り返し、検証することを推奨しています。 FDAは、20回の繰り返しで19回が陽性になる最低濃度をLoDと定義しています。 複数の臨床マトリックスを臨床検査の目的としている場合、FDAは、検査試験室がEUAにおいて、最も困難な臨床マトリックスの結果をFDA提出することを推奨します。 たとえば、呼吸器検体(例:,、 BAL、鼻咽頭(NP)スワブなど)を検査する場合、検査試験室はEUAリクエストにおいて、唾液の結果のみを含めること。

(2)臨床評価

検査用の既知の陽性サンプルがない場合、FDAは、最低30の反応性検体と30の非反応性検体を評価することにより、人工的に作成された臨床検体でアッセイのパフォーマンスを確認することをお勧めします。 人工的に作成された反応性検体は、RNAまたは不活化ウイルスを残りの臨床検体にスパイクすることで作成できます。その大部分は、NPスワブなどの上気道検体、または唾液などの下気道検体になります。

人工的に準備された20の臨床検体をLoDの濃度の1x-2x でスパイクし、残りの検体をアッセイのテスト範囲に広げます。 FDAは、性能の許容基準を陽性;LoDの濃度で95%の一致、他のすべての濃度および陰性検体で100%の一致と定義しています。

 

(3) 包括性

臨床検査室は、提案された分子アッセイを検出できる公開されているSARS-CoV-2配列に対する同一性パーセントを示すin silico分析の結果を参照すること。 FDAは、公開されているSARS-CoV-2配列の100%が、選択されたプライマーとプローブで検出できると予測しています。

 

(4)交差反応性

FDAは、最低限、一般的な呼吸器細菌叢およびその他のウイルス病原体と比較したアッセイプライマーおよびプローブのin silico分析は、初期臨床使用に十分であると考えています。 FDAは、in silicoの交差反応性を、プライマー/プローブの1つと標的微生物に存在する配列との80%を超える相同性と定義しています。 さらに、FDAは、追加の交差反応性試験の試験を目的とするサンプルタイプの前後関係(文脈)から、制定されている実験室手順に従うことを推奨します。

 

  1. FDAへの報告・通知

試験法のバリデーションの完了後、臨床検査室はFDA(CDRH-EUA-Templates@fda.hhs.govへの電子メールなど)に、試験法がバリデーションされたことを報告・通知する必要があります。 この通知には、臨床検査室の名前、臨床検査室長の名前、住所、およびこのメールに記載されている連絡先を含めること。

FDAは、自動返信で、バリデーション実施臨床検査室に、通知の受信を確認します。 上記のように、試験法がバリデーションされたという連絡から15営業日以内に、臨床検査室は、EUAリクエスト(文書)を提出することを推奨します。

 

C.結果の報告

透明性を提供するために、FDAは、試験報告書には試験法はバリデーションされたが、FDAによる照査中であることを一般向け声明に含めることを推奨します。臨床検査室は、すべての肯定的な結果について、適切な連邦、州、または地方の公衆衛生機関に直ちに通知する必要があります。

 

  1. EUA(緊急使用許可)リクエスト

COVID-19専用のEUA様式は、FDA(CDRH-EUATemplates@fda.hhs.gov)に連絡するか、FDA Webサイトからダウンロードすることで取得できます。FDAは、揃えられたEUAリクエストまたは臨床検査室へのEUA様式に関する質問や懸念に応えます。  FDAは、要求で提起された潜在的な懸念または安全性の考慮事項に対処するために協力して働き、EUA要求の最終決定に関して臨床検査室に連絡します。FDAがEUAを承認できない場合、FDAは臨床検査室に通知します。 FDAは、臨床検査室が患者の検体の試験し、以前の検査結果が有効でない可能性があり、訂正された検査報告書を発行することが重要であると考えています。

 

E.臨床試験

EUAを要請してFDAの決定を待っている間、FDAは、臨床検査室がEUA承認申請している試験法を用いて、申請後初の5つの陽性および5つの陰性の臨床検体の確認を行うことを推奨します。 それら10試験例は、他の臨床検査室での検証目的に送付されることを合わせて行う。

これらの結果のいずれかを確認できない場合、臨床検査室は、FDA mail address;CDRH-EUA-Templates@fda.hhs.govに通知し、患者検体の検査の終了、以前の検査が結果が有効でない可能性がある検査報告書の修正の発行など、その他の適切な措置を講じる必要があります 。