徐放性メトホルミンMetformin (糖尿病治療薬)の回収が公示(続)

5月31日の記事「徐放性メトホルミンMetformin (糖尿病治療薬)の回収が公示で、「2020年3月にValisureが FDAに提出したCitizen Petition on Metformin」に基づいて、FDAは、5月29日に、“患者。医療従事者向けの警告として、徐放性メトホルミンMetforminにNDMAが検出”を発出している。

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-alerts-patients-and-health-care-professionals-nitrosamine-impurity-findings-certain-metformin

このFDAの発表に相前後して、NDMAが検出された製剤を発売している、Apotex、Amneal Pharmaceuticals LLCが、回収を始めたことを発表したと、このnewsで書きましたが、さらなる回収が開始された。その広がりは、混とんとしている!!

https://www.valisure.com/wp-content/uploads/Valisure-FDA-Citizen-Petition-on-Metformin-v3.9.pdf

このPetitionの結果にたしての追試をFDA Labが行い、NDMAが市販のMetformin錠剤に検出されたことを6月5日;Laboratory analysis of metformin productsとして発表している。

https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/laboratory-tests-metformin

発表されたFDAの収去サンプルの分析結果と、Valisureが FDAに提出したCitizen Petitionに記載の分析結果には、差異が認められるが、市販の徐放性を含めたメトホルミン錠剤には、NDMAが検出されている。

 

このValisure がFDA に送ったpetitionにも、FDAの収去サンプルの分析結果には含まれていなかった2社;TEVA, Marksans Pharma Limited, Indiaが、6月2日付で回収開始を公示した。

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/teva-pharmaceuticals-usa-inc-initiates-voluntary-nationwide-recall-metformin-hydrochloride-extended

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/marksans-pharma-limited-issues-voluntary-nationwide-recall-metformin-hydrochloride-extended-release

これは、非公式ながら、医薬会社は保存サンプルを分析しており、その結果に基づき、回収開始の判断をしたと推察される。

 

また、回収対象のTEVAのMetformin500㎎錠剤の処方は、下記のURL に示されて通り、

https://ndclist.com/ndc/62037-571、添加剤は下記の3種である。

  • HYPROMELLOSE
  • SiO2
  • ステリン酸マグネシウム

 

この組成からは、添加剤には化学構造から硝酸根はないため、医薬品自体が、出荷後、自己分解してNDMAを生成しとは、考えにくい。推測ではあるが、インキもしくはPTP包装素材とMetforminnoが反応してNDMAが生成したと考えるのが科学的と判断された。

この反応機構からは、同じような硝酸根(もしくは酸化剤)を含むインキもしくはPTP包装素材を使用しているMetforminnoは、NDMAの交叉汚染は免れられないと推察される。

 

さらには、EMAは、2019年9月の全MAHに対して、リスク評価を行い、全医薬品のニトロソアミンの交叉汚染を調べることを指示している背景には、潜在的に出荷後自己反応して、ニトロソアミン交叉汚染の可能性が考えられることを示唆している。