Warning Letter(FDA) 2018.11.29

欧州医薬局、FDAの情報を開示しています。
現在、厚労省より求められています、供給者管理の参考資料として、活用いただければ幸甚です。
今回は、FDAの査察で、異物混入・交叉汚染の原因調査で、製造所の品質システムに欠陥があることを指摘したが、この製造所が反省していないことに、業を煮やして警告を行っていることが読み取れるWLである。

項目 異物混入 詳細 Import Alert
China 分類 API

 

FDAは、2018年7月23日~8月30日にわたりZhejiang Huahai Pharmaceutical;バルサルタンの品質に関して査察しましたが、その際、重大なGMP違反が観察され、改善計画が不十分と判断され2018年11月29日付けで、FDAはWarning Letterを発出しました。同工場は2018年9月28日付けで、Import alterのlistに入れています。

■ 概要

製造所名:Zhejiang Huahai Pharmaceutical
住所;Coastal Industrial Zone , Chuannan No. 1 Branch No. 9, Donghai 5th Avenue , Linhai, Taizhou Zhejiang CHINA
HP: http://en.huahaipharm.com/content.asp?info_kind=001002

■背景

Zhejiang Huahai Pharmaceutical;バルサルタンに不純物N-ニトロソジメチルアミン、N-nitrosodimethylamine (NDMA)の混入があり、このAPIを用いた製品がUS/EUで回収されることになった。USは、9月に import Alertに指定、EMAは、いち早く7月に警告文書を発表している。異物混入に関しての回収に対応すべく、FDAは、今年7月に査察を行った。
その査察結果に基づいて発出された、Warning Letterの概要をまとめた。

 

1、品質部門はバルサルタン APIの品質に関する苦情の調査、解決を怠った。

貴社は、APIを出荷した顧客の施設でバルサルタンAPIの残留溶剤試験で未知のピークが検出され、2018年6月6日に顧客より苦情の連絡を受けました。 未知のピークは、おそらくヒト発癌物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)と同定された。貴社の調査報告書(DCE-18001)では、NDMAの混入は3つのプロセスに関連して引き起こされたことを断定した。その1つは溶媒(b)(4)の使用。 貴社の調査では、バルサルタンの製造プロセス(調査では(b)(4)プロセスと呼ばれる)がNDMAの混入によって影響を受けたと結論付けた。

しかし、FDAは、貴社のAPIのサンプルおよび貴社のAPIを用いて製剤された医薬品を分析すると、異なるプロセスで製造された複数のバッチ、すなわち溶媒を使用しなかった(b)(4)プロセスにてNDMA購入したことを同定した(b) 4)。 これらのデータは、貴社の調査が不十分であり、顧客に出荷したバルサルタンAPIのNDMAの管理と混入の対策に失敗したことを示しています。
貴社の調査失敗はさらに:

  • NDMAの混入の原因の可能性のある他の要因を含めることがなかった。 たとえば、調査では、(b)(4)を含め、製造時に使用されたすべての原材料の総合的な評価が欠けていた。
  • バッチ混合、溶媒の回収と再使用、共有された生産ライン、およびクリーニング手順を含む、NDMAのクロスコンタミネーションのリスクにさらされる可能性のある要因を評価することがなかった。
  • 製品にて他の変異原性不純物が生成される可能性を評価することがなかった。

 

2、変更管理においての、品質に及ぼす潜在的な影響調査が行われなかった。

2011年11月には、溶媒(b)(4)の使用変更を含むバルサルタンAPIプロセスの変更(PCRC-11025)を行った。貴社の変更の意図は、製造プロセスの改善、製品収率の向上、および生産コストの削減でした。しかし、新しいプロセスを導入した場合、潜在的な変異原性不純物の生成に関して十分に評価することをしていなかった。具体的には、

(b)(4)分解物、(b)(4)を含む(b)(4)分解物から変異原性またはその他の毒性不純物が形成される可能性は考慮していなかった。

貴社が行っている調査によると、バルサルタンAPI製造プロセス中に起こる可能性のあるヒト発癌物質NDMAの生成には、(b)(4)が必要である。 NDMAは、貴社の製造施設で製造されたバルサルタンAPIで検出された。プロセスの変更を承認する前に、予想外の不純物がvalsartan APIに検出され、管理できるかの追加の分析方法の必要性を評価することをしていなかった。

製造プロセスを開発したり変更したりする際に、不純物の検出に適切な方法を開発し、採用する責任がある。

新規または高レベルの不純物が検出された場合は、不純物を十分に評価し、患者が安全であることを確認する措置を取る必要がある。

貴社のFDAの観察事項への回答には、バルサルタン製造プロセス中のNDMA生成の予測は、現状の技術基準を超えており、プロセス開発研究が適切であったと述べているが、FDAは同意しない。一般的な業界の標準は、常にCGMPの要件と一致するとは限らない。また、貴社は製造する医薬品の品質に責任を負うことを肝に銘じなさい。貴社の回答には、適切な変更管理手続きを確実に行うための十分なCAPAは回答していない。(1)API製造プロセスの変更を含むAPI製造プロセスの徹底的な評価しなさい。 (2)潜在的に突然変異誘発性の不純物を含む危険な不純物を検出すること。

変異原性の可能性のある不純物の管理に関するFDAの現在の考え方については、FDAのガイダンス文書M7(R1)を参照すること。

 

■FDAの対応

同社の改善が確認さるまで、輸入禁止措置

 

同じくEMA は2018年7月に 同社に警告書を発出しており、EUへの実質の輸出はできなくなっている。

日本の海外製造所登録;

Zhejiang Huahai Pharmaceutical.

本社住所;Xunqiao, Linhai, Zhejiang ,China

業者コード(法人部分) 業者コード(事業所部分) 認定・登録番号
450521 001 AG10500036

 

 

詳細は、FDA のURLを参照願います。

https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm628009.htm