ICH Q7のQAに対する原薬製造業界(APIC)の動き

以下、翻訳文です。

2015年6月に、ICHは、Q7に関するQ&A;ICH Q7 Questions & Answers Document in June 2015 を発出しました。(https://www.pmda.go.jp/files/000208233.pdf を参照)

日本語版は、2016年3月8日に、PMDAのHPに掲載されました。(https://www.pmda.go.jp/files/000211690.pdf を参照)

Active Pharmaceutical Integrity Committee (APIC)は、2000年よりAPI製造企業向けに Q7の解説”How to do Document – Interpretation of the ICH Q7 Guide”を発行して、ICH Q7の stepが上がるために改訂を行い、現在 第8版(2015年8月)に至っています。(http://www.gmp-compliance.org/guidemgr/files/HOWTODO-ICHQ7_AUGUST2015_VERSION8.PDF を参照)

今回、“Q7に関するQ&A“発出に対応するべく、”How to do Document – Interpretation of the ICH Q7 Guide”の改訂作業に取り掛かっていることが、APIC のHPに掲載されたので、その背景等を紹介します。(http://www.api-conference.org/pre-conference-session.htmlを参照)

この11月の会議を通して、“How to do” Document Interpretation of the ICH Q7 Guide”をversion upして、ICH Q7 Q&Aにて発出された Q7の運用の考え方を盛り込み、API業界への指針を示すことになると考えられます。

この機会に、“How to do” Document Interpretation of the ICH Q7 Guide”の一部をご紹介する。例えば、専用機器の洗浄確認に関して、“Q7に関するQ&A“は、下記の様に述べています。

Q 5.1 専用装置では、清掃効果の確認に「目視による清浄確認」(即ち、特定の分析定量を求めないこと)は許容されるか。
A 5.1 目視検査の検出能や清掃評価から得られた十分な補足データ(例えば、清掃効果を示す

分析定量結果)に基づき、専用装置に対して「目視による清浄確認」が許容されることはある[ICH Q7, 12.76]。原薬の品質を低下させないよう、汚染物質(例えば、分解物、一定レベルの微生物)の生成 及び キャリーオーバーを防止するため、当該装置を適切な間隔(例えば、時間やロット数を単位に)で清掃すること[ICH Q7, 5.23 及び 12.7]。

また、APIC が発行している“How to do” Document Interpretation of the ICH Q7 Guide   Version 8 (Update August 2015) には、設備の洗浄に関しては、APIC が発行している、洗浄バリデーション ガイダンス(GUIDANCE ON ASPECTS OF CLEANING VALIDATION   IN ACTIVE PHARMACEUTICAL INGREDIENT PLANTS 2014)を参照する事を推奨して、具体的な記述は記載されていません。

http://apic.cefic.org/pub/APIC_Cleaning_Validation_2014.pdfを参照)

5.21 ~26 装置の保守及び清掃
See the APIC Documents “Cleaning Validation in Active Pharmaceutical Plants – Policy, 1999” and “Cleaning Validation in Active Pharmaceutical Plants – Guidance” for practical advice on this subject. (http://apic.cefic.org, “publications”).

では、GUIDANCE ON ASPECTS OF CLEANING VALIDATION IN ACTIVE PHARMACEUTICAL INGREDIENT PLANTSにおいて、目視確認に関しては、下記の様に記載されています。

4.0残留基準

機器洗浄の合格基準は、機器が乾燥状態で視覚的に清浄、分析的限界を基ずく

5.3.1洗浄確認は、次の手順をすることで実施できる。•目視検査または•目視検査や分析的確認(例えば、スワブおよび/またはリンス液分析)。外観検査:手順に従って機器を洗浄した後、目視検査をできるように機器を乾燥させる。残留物が目視確認を認めらない。目視検査は、最もよく知られている機能を使用して行われるべきです。目視検査の間、次の状況が考慮されるべきです:•表面には色がついていない、摩耗や引きかき傷が無い。•固形残基(ろ過の末端工程に使用される最終製造機器では、洗浄工程行い、その洗浄液を粗いフィルターを用いて集められた残さを評価する)
5.3.2.3 ポストバリデーションモニタリング

洗浄バリデーション後、分析確認を省略してもよい、使用目的に適していることが証明されている簡易分析方法(例えば、導電性等; pH値)に置き換え手もよい。しかし、目視検査は、乾燥済み装置内に限定されるべきであり、目に見える残留物は観察されてはならない。バリデーショステータスの確認は、バリデーション報告書で定義された周期で、定期的に実行する必要があります。

この記述は、“Q7に関するQ&A“の答えには、対応しているが、具体的な記述には欠けている。補足として APICは、下記の様に、専用設備の洗浄確認に関して、下記の様に“APIC’s How to do Document ”関してコメントしています。

  • 専用設備の定義として、種々あるが、文書化して定義づけねばならない

専用設備の例;

  • 唯一のAPIに用いられる反応釜・器
  • 1種のAPIの原料となる複数の中間体の製造過程に用いられる反応釜・器
  • 1種の中間体・APIの製造過程に用いられる反応釜・器
  • 一工程のみに用いられる反応釜・器
  • 洗浄後の目視確認を採用する場合の注意事項;考慮すべき点を挙げている
    • 充分な照度(光)があること
    • 受分に(機器が)乾燥している、
    • 洗浄困難箇所が、目視確認できること
    • (確認のため)エンドスコープもしくはカメラを用いること
    • 目視確認の検出限界が、決められていること
    • 保証期間;ダーティー、クリーンが決められていること
    • キャーペーン生産期間の長さが決められていること

これらのコメントは、まだ、“APIC’s How to do Document ”には反映されていません。”How to do Document – Interpretation of the ICH Q7 Guide”での例をもう1例示すと、ICH Q7 Q&Aでは、

Q 4.2 交叉汚染を防止するための適切な封じ込め方法を確立する際に、品質リスクマネジメントをどの程度用いることができるか。
A 4.2 品質リスクマネジメントの原則[ICH Q9, 付属書II.4]は、取り扱う又は生産する原料、中間体や原薬の薬理学的/毒性学的/化学的/生物学的な特性を考慮しながら、封じ込めのための建物や施設、管理方法の設計に適用すること。適切な封じ込めの手段や管理方法[ICH Q7, 4.42]は以下を含むが、これらに限られるものでない。

・ 技術的管理(例えば、専用製造区域、閉鎖系/専用の加熱・換気空調(HVAC)システム、閉鎖系生産システム、使い捨て技術の活用、封じ込めや容易な清掃のための設備・装置の設計)

・ 手順上の(組織的な)管理(例えば、清掃、従業員の動線、環境モニタリング、教育訓練)モニタリングシステムは、封じ込め管理の効果をチェックするために重要である。

に対しては、“APIC’s How to do Document ”では、

ある種のAPI(4.40と4.41を参照)には、専用のまたは使い捨ての衣類やエリア内の保守のための専用の機器(道具・部材)を使用することが適切であろう。更衣の の要件が、すべての者に適用されるべきです”保守担当者、訪問者など”。更衣・シャワー利用できる施設が必要であり、特別な衛生管理が適用されるべきである。

と、ある程度具体的には、記述しています。

APICが、本年11月に開催を予定している「Pre-Conference Session The ICH Q7 Questions & Answers Document – an Update on GMP for APIs 22 November 2016, Barcelona, Spain」を通して、“How to do” Document Interpretation of the ICH Q7 Guide”の第9版に Q7のQ&Aの考え方が盛り込まれ、API業界へのGMP指針を示すことになると考えられています。

最後に、この機会に、APIを製造されている医薬企業に置かれましては、“APIC’s How to do Document ”と”GUIDANCE ON ASPECTS OF CLEANING VALIDATION IN ACTIVE PHARMACEUTICAL INGREDIENT PLANTS 2014“を参照され、自社のQMSの改善に参考にされることをお勧めいたします。

以上

 

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