PIC/Sがdata integrity guide(draft)を発出、EMAがQ&Aにdata integrityを追加

先週、PIC/Sがdata integrity guide(draft)を発出し、また、EMAがQ&Aを更新して、data integrityを加えました。要点をまとめまてみました。
(現時点で厚労省が、data integrityのPIC/S guideをどのように取り扱うかは不明です)

PIC/S data integrity guideの内容は、WHOのguideに近い内容ですが、より詳しく記述してあります。

これら2件の発出された文書、とくにEMA Q&Aから、読みとれることをまとめてみました。PIC/S Data integrityと並行してEMAのQ&Aが、発出されたことから、PIC/S “data integrity guide”は、EMAのguideと読み替えることも可能と考えられます。

1. Q&Aの前文で、EMA GMPを引用して、data integrityの対象を、旧来の紙の記録と電子記録としています。「equally to manual (paper) and electronic systems」 このことから、手で書いた記録もコンピュータを用いた記録も、同じように完全性が要求されることが、再度宣言されています。(Q&A前文 Data integrity)Data integrityは、医薬品の品質保証の一部で、責任部署がQAであることが、再度強調されています。さらに、ICH Q10と共通して、経営層の責任と資源の分配が、明示されています。

2. リスク分析の方法は (Q&A No.1)
不正アクセス、改ざん防止を、どのように防ぐかを主眼にして、リスク分析を求めています。Data Integrity(DI)データ完全性は、risk basedで行うことが、強調されています。データの重要性の評価は (Q&A No.2)、DIが与える影響を考慮する、例として、出荷判定とか、APIのdataが、製品(錠剤)の品質・安全性に及ぼすことを挙げて、個別にDIの重要性を評価することを求めている。

3. Data lifecycle managementとは (Q&A No.3)
これは、製品のlife cycle managementのdata版といった要求です。データを取得、記録、アーカイブ、廃棄までの製品のlifecycleと並行して、dataも取り扱うことが求められています。データのライフサイクルとは
 データの作成・記録
 利用可能な情報に加工処理
 報告されたデータと処理された情報の完全性と正確性を確認
 データ(または結果)は、判定・決定を行うために使用され
 恣意的な削除、不正なアクセス・訂正を防ぐ
 損失や不正な修正から保護保持し、データの検索
 その医薬品の生涯を終える段階での、管理された方法でデータの廃棄もしくは保管

4. Data lifecycle management (Q&A No.5)DIには幾つもの部門に責任・分担が及ぶが、漏れがないように照査する。それは、悪意の削除。改ざんを最小限に減らす、検出できないことを減らすことである。

5. このlife cycle managementで考慮すべき点は(Q&A,6,7)dataの取得・記録時の信頼性のみならず、保存中の信頼性まで求めています。

6. DIが、従来の製造、QCから拡大して、Supply chainにも要求されること(Q&A No.23)

7. WHOのguidelineと同様に、e-dataと古典的な紙based dataを同列に扱い、両者を同じlevelで管理することを求めています。いわゆるGDP(Good Documentation Practice)の導入を促しています。(Q&A No.5、6 その他の各項)

出展
PIC/S draft
https://picscheme.org/useruploads/documents//PI_041_1_Draft_2_Guidance_on_Data_Integrity_2.pdf
EMA Q&A
https://picscheme.org/useruploads/documents//PI_041_1_Draft_2_Guidance_on_Data_Integrity_2.pdf

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